「暗黒の死の洞門へ一歩々々足を進めてゐる我々人間に何の真の幸福があらうぞと私はつねに思ってゐる。屠所の羊に異らない身でありながら、幸福を夢みるのは不思議なことだと思ってゐる。それにも関はらず 、生きてゐるうちは幸と不幸、快と不快の感に動かされない時は無い」 1962年昭和37年10月28日午前11時、膵臓癌による衰弱のため、飯田橋日本医大付属病院で逝った正宗白鳥の